東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品 Traditional Crafts of Tokyo

坂森七宝工芸店
(さかもりしっぽうこうげいてん)

坂森七宝工芸店
(さかもりしっぽうこうげいてん)

七宝は数百年後も色あせることがありません。都内では数少ない七宝体験教室。スケジュールはかなりの込み具合。お申し込みはお早めに!

七宝は数百年後も色あせることがありません。

体験しよう

七宝のペンダントづくりが気軽に体験できます。薬品を使う工程は省略されているので、小さいお子さんでも、お母さんといっしょなら大丈夫です。

まる、ハート、しずくの中から好きなものを。ペンダントの形を3種類の中から選びます。本来は、塩酸や硝酸で素地を洗いますが、この体験ではあらかじめ処理されたものを使います。

まる、ハート、しずくの中から好きなものを。

体験では写真の10色が使えます。非常に細かい色ガラスの粉に鉛を混ぜた釉薬(ゆうやく)。まず、ベースになる1色を選びます。釉薬は水彩絵の具のように混色することはできません。

体験では写真の10色が使えます。

先がななめにカットされた専用の竹へら「ほせ」。体験当日は、上野にパンダがやってきて数日目だったので、パンダのデザインのペンダントをつくることにしました。背景になる色は笹の葉の緑! 必要な道具は「ほせ」という竹のへら、面相筆、ティッシュペーパーなど。

先がななめにカットされた専用の竹へら「ほせ」。

銅は水分をはじきますが、むらなく盛ります。最初に緑の釉薬を、素地の銅が見えなくなるまでまんべんなく盛っていきます。最初の盛りはややでこぼこしていても大丈夫です。

銅は水分をはじきますが、むらなく盛ります。

ここは職人さんにおまかせ。数分で焼き上がります。乾燥させてから、約850度の電気炉で焼成すると、釉薬が溶けて表面がツルツルになります。これを冷ましてから、別の色の釉薬を上に重ねていきます。

ここは職人さんにおまかせ。数分で焼き上がります。

釉薬の粒子が細かいので、なかなか思うように色が乗りません。別の釉薬を、「ほせ」で素地に盛ってから、ティッシュペーパーで水分を吸い取り、筆を使って細かい形を調整します。溶けることを考えると、厚みがありすぎてもいけません。

釉薬の粒子が細かいので、なかなか思うように色が乗りません。

これは3回目の焼成前の状態。ひとつの色を使うたびに焼成します。今回の体験では、5色使ったので、5回焼きました。

これは3回目の焼成前の状態。

完成まであと一歩。釉薬が素地のへりからはみ出してザラザラになった部分を、砥石(といし)で磨いてなめらかにします。

完成まであと一歩。

色の粒は、ベネチアンガラスの「ミルフィオリ」といいます。1,600円のコースでは、ペンダントの乾燥や焼成の待ち時間を使ってもうひとつ小物を作ることができます。1色の釉薬を盛り、小さな色ガラスをのせて焼きあげます。色ガラスが溶けて、きれいな細かい模様になります。

色の粒は、ベネチアンガラスの「ミルフィオリ」といいます。

1,600円のコース、ふたつとも完成です!!ひもを通して完成です。ちょっと面白い結び方をします。体験してみてからのお楽しみ。

1,600円のコース、ふたつとも完成です!!

担い手の声

坂森七宝工芸店七宝を絶えさせないため、宣伝に力を入れています。

坂森 登 さかもり のぼる
東京七宝工業協同組合理事
東京都伝統工芸士 
第32回台東区優秀技能者
財団法人日本手工芸指導協会 師範

「度重なる不況や価格競争など、さまざまな条件が重なって、東京では七宝加工の工房は14軒までに減りました。後継者も育っていません。そんな状況を迎えた中で、わたしは宣伝に力を入れてみようと考えました。年配の方はすでに七宝を知っていますから、中年層や学生などの若年層を狙って、一生懸命種まきです。ほんの数分間説明するだけの見学はしていません。なんといっても体験です。体験は一生その人の心の中に残りますからね。七宝を次の世代にも残したいのです」