東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品 Traditional Crafts of Tokyo

東京和晒創造館 てぬクリ工房
(とうきょうわざらしそうぞうかん てぬくりこうぼう)

東京和晒創造館 てぬクリ工房
(とうきょうわざらしそうぞうかん てぬくりこうぼう)

竹を編んで作った簾のランチョンマット。ダイナミックな技と繊細な手さばき。すべてが新鮮で、驚きに満ちた一日。

グラデーションをかけて紫陽花(あじさい)も美しく表現できます。

体験しよう

型紙に糊(のり)を引き、染料を注いで染め上げる、「注染(ちゅうせん)」という伝統的な技法で、手拭(10本くらい)を作りましょう。午前は中央に柄がある型紙で基本をマスター。午後に季節の花など、全体にモチーフをちりばめた総柄にチャレンジします。

糊を引いたところは染まりません。型置き:白生地(しろきじ)の上に、木枠に張った型紙を置き、ヘラで海藻糊(かいそうのり)をつけます。一枚の長い布を折り返して、何度も繰り返します。

糊を引いたところは染まりません。

ひっくり返して裏にもおが粉を付けます。おが粉(こ)かけ:型置きした布地をおが粉の上に置いて糊を保護します。

ひっくり返して裏にもおが粉を付けます。

絹の反物は100℃の蒸し箱に30~120分入れます。筒糊置き(つつのりおき):布を注染台に置いて染めたい色ごとに糊で仕切りを入れます。

異なる染料が混ざらないように堤防をつくります。

昭和40年頃までは裏を流れる妙正寺川(みょうしょうじがわ)で行っていました。染色:薬缶(やかん)と呼ばれるじょうろで染料をたっぷり注ぎます。染料を一回かけるたびに足元のペダルを踏み、余分な染料を下から吸い取り浸透させます。

手前から奥へゆっくり動かして染料が出てくるのにまかせます。

200枚もの型紙が必要な作品もあります発色促進:注いだ赤色にお湯を、それ以外の色に酸化剤をかけて色を定着させ、色止めします。

アルカリ性の染料を酸で中和します。

手首をきかせてジャブジャブ洗い、干します。水洗(すいせん)・乾燥:水中で糊を振り洗いして、天日で1~2時間乾かします。

手首をきかせてジャブジャブ洗い、干します。

手首をきかせてジャブジャブ洗い、干します。

足元のペダルを踏みながら少しずつ布を送ります。巻き取り:乾いた布地をロール機に巻きつけてしわをとります。

足元のペダルを踏みながら少しずつ布を送ります。

柄にはさみを入れないように注意。裁断:染め上がった一枚の長い布を屏風状にたたんで、裁ちばさみで切り分けます。

柄にはさみを入れないように注意。

一枚の型紙でこんなにカラフルな手拭が出来上がりました。完成:午前と午後で異なる型紙を使い、2回染色を行います。

一枚の型紙でこんなにカラフルな手拭が出来上がりました。

担い手の声

型染めを指導してくれた岡野さん。日本人の美意識が活かされた自由な技法で、自分なりのアレンジを楽しめるのが、注染の魅力。

内藤 早苗 ないとう さなえ
手拭実染塾講師

「アレンジして色と柄を変幻自在に操ることができるのが、注染です。自由な技法に古くからの日本人の美意識が生きていて、非常に魅力を感じます。美しい伝統を生かしつつ、現代的なデザインの作品を作ってみたい。手拭はたった一枚の晒(さらし)ですが、職人さんの技と手間がかかっています。色落ちや風合いの変化を楽しみながら、最後まで愛着をもって使い込んでほしいと思います」

小さいころから服飾と日本舞踊などの伝統芸能が好きで、大学院で注染を研究した内藤さん。