東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品 Traditional Crafts of Tokyo

東京籐工芸

とうきょうとうこうげい

東京籐工芸

暮らしと体に溶け込む、芸術的日用品。
主に東南アジアに生息するヤシ科の植物である籐は、しなやかで軽く、堅牢であることを特徴に持つ。竹に比べて巻いたり結んだりする作業に適し、古くから様々な製品に用いられてきた。「東京籐工芸は素材ありき」と断言する職人は、籐の中でも耐久性や通気性に優れたインドネシアやマレーシアの素材にこだわり、決して素材を無駄にしない。無論、連綿と受け継がれてきた技術力も高い。組立はすべて手作業によって行われ、釘が見えないようにする細かい配慮がなされる。部位によって編み方を変えて最適な張りや硬さを目指し、コブを作って滑りにくくする技は、素材を100%生かして機能性を追求する心意気の表れである。時代ごとに変化するニーズに対応する一方、「手仕事は心の仕事である」との想いから、古い籐製品の修理も受け付けている。スツールや椅子、ベッドはひんやりとした肌触りが心地よく、柔らかくフィットする枕は外国人の心もとらえる。盆栽の台にするなど、海外にはディスプレイとして籐工芸の風合いを楽しむ人もいるという。
主な製造地 足立区、台東区、豊島区ほか
指定年月日 昭和61年7月18日
伝統的に使用されてきた原材料 トウ

伝統的な技術・技法

  1. 曲げは、火熱又は蒸気を用い、曲げ台などにより行うこと。
  2. 挽きは、ふし取りした丸籐の皮を割鉈ではいで銑(せん)で裏の身をとって、切出しで幅をきめること。
  3. 巻きは、骨組の接合部分などを皮籐(かわとう)、芯籐(しんとう)で巻き補強すること。
  4. 編みは、皮籐・丸芯・平芯で行い装飾性、強靭性など製品の用途に合せ正確に行うこと。

沿革と特徴

籐は、主に東南アジアにだけ成長するヤシ科の植物である。その性質は、軽く堅牢で弾力に富んでおり、地球上でもっとも長い茎を持った植物といわれている。

竹と同じように節がありますが、中は空洞ではなく繊維になっている。太さは2ミリから50ミリぐらいまである。

外皮が硬く細長い葉が交互に生えて、ところどころにとげがある。特に、引く力に対する強度が極めて高く、キングコングがぶら下がったぐらいでは、びくともしない。

「編む」「組む」(編組工芸へんそこうげい)のもっとも身近な素材として利用されるのは竹だが、竹は「巻く」「結ぶ」は苦手で、これを満たしたのが籐だった。

籐はしなやかさにも優れ、折や曲げに耐えられない竹に代わって、もっぱら「巻く」ことや「かがる」ことに利用されている。

竹篭の縁かがりに、しばしば籐が使われているのはこのためである。

中世の武将の手には「重籐(しげとう)の弓」が使われ、刀槍の柄や筆、笛、尺八にいたる、様々なものに使われていた。

江戸時代には籐の網代編みの編笠、枕、草履の表などに使われ、明治時代には姥車(乳母車)や籐椅子が出現し、大正時代には芯籐の造形性が注目され、昭和の初期から、家具類やルームアクセサリーにも用いられ、籐の利用範囲はさらに拡大されていきた。

今日では籐製品は身近なものとなり、高温多湿の日本の夏には、ひんやりとしたはだざわりからホテルのロビーやレストランなどのほか、一般の家庭など様々な場所で使われている。

連絡先

産地組合名 籐事業協同組合
所在地 〒111-0052 台東区柳橋1-30-6 小西貿易(株)内
電話番号 03-3862-3101