東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品

江戸和竿

えどわざお

江戸和竿 写真

江戸の町人は、釣りの道具にさえ粋を求めた。
鮮魚を好んで食べる食文化を持つ日本において、釣りは庶民の趣味として親しまれ、釣り竿も高度な発展を遂げた。特に東京は太平洋に面し、複数の川が流れている地理的な特徴から、ほかの地域と比べて多種多様な釣り竿を作ってきた。石鯛竿、黒鯛竿、やまめ竿など、江戸和竿は魚の種類の数だけ存在するといっても過言ではない。竿は主にオーダーメイドで作られ、釣る対象となる魚の大きさや力加減に合わせて作ることが重視される。最低でも三年寝かせた竹を切断し、部位ごとに異なる性質を見極めて一本の竿に仕立てていく切り組み、竹の強度を上げる火入れの工程によって竿の善し悪しが決まる。完成品は天然素材ゆえ、使うほどに持ち手は手になじむ。持ち手に漆や彫金などの飾りを施し、実用性と芸術性を兼ね備えている点も釣り人の心をくすぐる。魚の力を吸収する計算されたしなり具合は、カーボン製とは比較にならない釣り心地の良さをもたらす。江戸和竿が、国境を越えて釣り人たちを魅了している所以である。
江戸和竿組合
東京都荒川区南千住5-11-14
竿忠方