東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品 Traditional Crafts of Tokyo

江戸象牙

えどぞうげ

江戸象牙

あらゆる芸術が愛する、唯一無二の温もり。
8世紀に中国から象牙彫り技法が伝来したといわれ、17〜19世紀には茶匙、髪飾り、根付けなどに用いられた象牙。現在はワシントン条約によって国際取引が規制されており、2009年以降は輸入されていない。工芸品に姿を変えるのは、登録票が交付されたものに限られる。希少価値が高い上、一本ごとに硬さや柔らかさ、目の入り方が異なるため、職人は一片たりとも無駄にしないための技術を備える。象牙の特徴である滑らかな肌触りや光沢に魅せられる人は多く、印鑑をはじめ、日本の伝統芸能である能や神仏などをモチーフにした置物・根付けが作られている。箏の柱や爪、三味線の糸巻きや駒、バチなどの和楽器にも用いられ、手の汗で滑らず、弦や金具の力をしなやかに受け止める性質を発揮する。力加減に合わせるかのように手になじむ象牙製にこだわる奏者は多いが、和楽器に使用できる硬い象牙の希少価値は高い。それでもなお象牙が珍重されるのは、天然素材ならではの性質に対するニーズが衰えないためである。
主な製造地 台東区、文京区、墨田区ほか
指定年月日 昭和58年3月10日
伝統的に使用されてきた原材料 象牙

伝統的な技術・技法

  1. 型づくりは、墨付け・図取りをした後、鋸又はノミ等を用いて手作業にて荒彫りをする。
  2. 彫り(仕上げ彫り・模様彫り)は、線彫り、あらし模様彫り、布目模様彫り、平彫り、芝山彫り又は透かし彫りによる。
  3. はぎ合せは、①置物にあっては、合せ又はダボを用い、②撥(ばち)にあっては、ニカワを用いて行う。
  4. 磨きは、トクサ、ムクの葉、角の粉等を用いて磨き上げる。
  5. 染色は、ヤシャブシ等の天然染料を用いて色づけする。

沿革と特徴

象牙は滑らかな肌さわり、美しい光沢と縞目模様の変化の妙と加工に適した固さを持っていることもあって、工芸品の素材として優れた要素を備えている。このため洋の東西を問わず、古くから珍重され使用されてきた。

古代エジプトでは豪華な家具や装身具に象牙が用いられ、古代ギリシャやローマでもいろいろな神像がつくられている。また中国でも古くから用いられ、隋、唐の時代には南方との交易が盛んになり、インドやタイから多くの象牙が輸入されるようになるにつれ、上流階級の調度品の装飾などに愛用されるようになった。

この中国の象牙彫技法が、奈良時代に伝えられたことは正倉院の遺品により知ることができる。象牙に細密彫刻を施した儀礼用の物差し、琵琶の撥、碁石などが正倉院に遺されている。

また象牙の原材も収蔵されていることから、日本でも原材を加工していたことがわる。

象牙とは、象の門歯が伸びたもので、大きいものは3-4メートル、重さ40-60キログラムにもなる。雌象の牙は細身で長く、雄象の牙はそりが強く太くなる。

象牙製品は、茶道における茶匙、茶蓋に始まったといわれ、こうして江戸時代には象牙が広く使われるようになり、江戸時代中期には根付け、髪飾、三味線撥などに用いられ、武士から町人に至るまで多くの人々に愛用されるようになった。

連絡先

産地組合名 東京象牙美術工芸協同組合
所在地 〒111-0035 台東区西浅草3-26-3
電話番号 03-3841-2533
ウェブサイト http://www.tokyo-ivory.or.jp/