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江戸刷毛

えどはけ

江戸刷毛

伝統工芸品を作るための道具は、やがて伝統工芸品そのものになった。
江戸刷毛は、伝統工芸品にとって必要不可欠な道具である。漆器に漆を塗るための漆刷毛や、表具師が愛用する経師刷毛をはじめ、木版刷毛、染色刷毛、人形刷毛など、様々な伝統工芸品と結びつき、多くの職人から信頼を得ている。和化粧に使う白粉刷毛、塗料を塗る塗装刷毛を加えた七種が江戸刷毛と総称され、長年にわたって受け継がれた技術を駆使した制作が行われている。使用される素材は人毛、獣毛、植物繊維などで、経師刷毛にはムラが出にくい馬の毛を使うように、用途に応じた使い分けがなされている。いずれにおいても毛先が完成品の出来栄えを左右し、コシが強く、ムラ塗りが出づらいものが最良とされる。そのために、毛を真っ直ぐに伸ばす火のし、籾穀灰を用いて毛が含む油分を取り除く毛揉みといった工程に手間を惜しまない。使い手に合わせることは職人の使命であると考え、毛の量を増減させるなどのオーダーにも対応。完成品は使いやすく手になじみ、耐久性が高いことから、長年にわたって愛用することができる。
主な製造地 台東区、墨田区、新宿区ほか
指定年月日 昭和57年2月4日
伝統的に使用されてきた原材料 本体部分の材料は、人毛、獣毛、ツグ又はシュロを用いる。柄に使用する素材は、ヒノキ、タケ又はこれらと同等の材質を有する用材とする。

伝統的な技術・技法

  1. うるし刷毛は、糊うるしにより毛固めをし、毛板を重ね合わせ密着させる。
  2. 経師刷毛、染色刷毛、人形刷毛、木版刷毛、塗装刷毛及び白粉刷毛にあっては、次による。
    ① 混毛は、金櫛で毛を均一に混合する。
    ② 籾穀灰を用い、獣毛の火のし及び毛揉みを行う。
    ③ スレトリは、半差類を用いる。
    ④ とじは、締木又はこれに類する道具を用い、絹糸又は針金によりとじる。

沿革と特徴

刷毛はものを塗るための道具として大変古くから作られていた。

文献上、刷毛について記されているもっとも古いものは平安時代に発行され、そこには漆を塗るためキビの毛が用いられ、さらに麻の毛が用いられたことが記されている。

江戸時代中期の享保17年(1732)に発行された「万金産業袋」には当時使用されていたいろいろな刷毛が図入りで紹介されており、その中に「江戸刷毛」の名称が付されている。

今日、江戸刷毛として指定されているものは、経師刷毛、染色刷毛、人形刷毛、漆刷毛、木版刷毛、白粉刷毛、塗装刷毛の7種類である。

刷毛の命は毛先であり、「ムラ塗りが出ない」「腰がある」ものが優良といわれ素材となる毛は用途にあわせて、刷毛師の厳しい目で吟味される。

現在使用している毛は、人毛や馬、鹿、山羊などの獣毛やシュロなどの食物繊維が使われている。クセや脂分のある毛は、職人の繊細な刷毛さばきに重大な影響を与えるので毛先を整えるとともにクセ直しと脂分の除去が大切な工程となっている。

このため、刷毛を作る総時間数の大半がこの工程に費やされる。

岩手県平泉町にある中尊寺金色堂が、昭和30年に解体修理された際に長さ20.5cm、厚さ1.05cmという大変貴重な漆刷毛が発見された。

連絡先

産地組合名 東京刷子工業協同組合
所在地 〒130-0001 墨田区吾妻橋2-2-14 東京ブラシ会館
電話番号 03-3622-5304