東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品 Traditional Crafts of Tokyo

東京くみひも

とうきょうくみひも

東京くみひも

東京には、紐の結び方だけで生計を立てるプロフェッショナルがいる。
日本は、世界的に見ても紐が高度に発達した国であるといわれる。国際的なスポーツブランドが日本のくみひもを靴ひもに採用したことがあるほど、その技術力に対する評価は高い。くみひもは武士の鎧兜のおどし糸や刀を下げる下緒など、武具の一部として発達し、戦闘時にも耐え得る堅牢な組み方が現在まで受け継がれている。17世紀以降は庶民の日用品である帯締め、根付け紐などに用途が拡大。公家社会を背景にした京都の華美なくみひもに対し、東京くみひもは武家社会と町人文化の影響を受けた主張し過ぎない色合いを特徴とする。日本の豊かな四季を反映した季節の色が、細やかな模様に映える。職人は紐がきつ過ぎず、且つ緩むことのないように心がけ、糸と糸が交差する組み目の味わいを大切にする。現在は携帯電話のストラップや犬用のリードなど、新たな製品も作られている。生産数は減少しつつあるが、絹糸の心地よい手触り、ファッションのワンポイントに相応しいデザイン性、頑丈さを支持する人は多い。
主な製造地 台東区、杉並区、北区ほか
指定年月日 昭和57年2月4日
伝統的に使用されてきた原材料 生糸、絹糸又は金糸若しくは銀糸

伝統的な技術・技法

  1. 糸染めは、無地染め、ぼかし染め又は段染めによる。
  2. 組上げには、四ツ台、丸台、綾竹台(あやたけだい)、重打台(しげうちだい)、高台、内記台又は籠打台を用いる。
    ① 綾竹台又は高台を用いる場合において、打込みにはヘラを用いる。
    ② 重打台又は高台を用いて組模様を組み出す場合には、綾取りによる。
    ③ 籠打台を用いる場合において、使用する組糸はより糸とする。

沿革と特徴

くみひもの歴史は古く、その用途も多く、現代帯締めや羽織ひもなど、私たちの日常生活には欠かせないものとして広く使われている。

こうしたくみひもの技術・技法は、古くは中国や朝鮮を経て伝えられ、時代とともにいろいろなものに使われるようになった。

仏教の伝来に伴うお経の巻き物や袈裟、貴族の礼服の束帯さらに武士の台頭による兜や鎧のおどし糸や刀の柄巻など多方面に活用されてきた。

また、小袖が流行してくると帯や腰ひもに、さらに帯じめなどへと普及していった。

くみひもの技術は当時は武士の生業として行われていたといわれている。日本は世界でも珍しいくらい「ひも」の発達した国だといわれ結ぶは単に物をしばったり継いだりするだけでなく、結び方、結ぶ紐の色結びの配置などにより、吉凶、性別、身分などを表現するものである。

又、それは高麗打朝鮮組などという名称からも、その源泉は大陸朝鮮半島からの渡来をうかがい知ることができる。

くみひもを組み上げるための組み台には、角台(かくだい)丸台、綾竹台(あやたけだい)、重打台(じゅうちだい)、高台(たかだい)、内記台(ないき)および篭打台(かごうち)の7種類に分類することができる。

糸と糸とが交差する組み目とワビ・サビといわれる渋好み色使いが、東京を代表する「くみひも」の一つとなっている。

連絡先

産地組合名 江戸くみひも伝承会
所在地 〒111-0022 台東区清川1-27-6
電話番号 03-3873-2105