CRAFT CROSSINGS in TOKYO 第34回 伝統的工芸品月間国民会議全国大会 東京大会 11.3FRI-11.6MONCRAFT CROSSINGS in TOKYO 第34回 伝統的工芸品月間国民会議全国大会 東京大会 11.3FRI-11.6MON

伝統工芸を知るための、7つのQ&A伝統工芸を知るための、7つのQ&A

どんな種類があって、
誰が作っていて、
どこで買えるのか。
伝統工芸にまつわる基礎的な知識を
Q&A形式で解説。

Q1. 伝統工芸品にはどんなものがあるの?

伝統工芸品と聞いて、誰もがすぐに思いつくのが陶磁器や漆器といった食器や、西陣織などの織物だろう。ところが、これはほんの一部にすぎない。意外なところでは、江戸硝子(東京都)のガラス食器や雲州そろばん(島根県)、都城大弓(宮崎県)、天童将棋駒(山形県)、伊賀くみひも(三重県)、丸亀うちわ(香川県)、さらに播州毛鉤(兵庫県)といった釣り具なども、実は立派な伝統工芸品。自分が住んでいる都道府県にはどんな伝統工芸品があるのか、探してみるのも面白いかもしれない。

経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品」を業種別にみてみると、「織物」「染色品」「その他の繊維製品」「陶磁器」「漆器」「木工品・竹工品」「金工品」「仏壇・仏具」「和紙」「文具」「石工品」「貴石細工」「人形・こけし」「その他の工芸品」に加え、金沢箔などの「工芸材料・工芸用具」を含めた全15業種に及ぶ。気がついていないだけで、伝統工芸品は私たちの身近にあるのだ。

Q2. どこで作られているの?

製造工程や工芸品そのものの大きさは千差万別。そのため、作られる場所の規模は大きく違っている。彫金などの小さなものは自宅を作業場所にして一人で作っている場合もあるし、何人もの職人を抱え、大きな工房で製作している伝統工芸もある。

最近では、産業遺産や生産現場を観光資源とした「産業観光」も盛んで、産地を訪れるツアーなどで製造現場を見ることも可能だ。銅器や漆器など、伝統的なモノづくりが盛んな富山県高岡市では、2012年から「高岡クラフツーリズモ」を開催。見学と体験を通して、伝統工芸に触れることができる人気企画だ。また、産地の商工業組合などに連絡すると工房を見せてくれることもある。東京都の伝統工芸品を紹介するホームページでも、江戸鼈甲や江戸手描提灯など、見学・体験ができる工房を探すことができる。興味のある人は問い合わせてみるといいだろう。

Q3. どのくらいの歴史があるの?

「伝統的工芸品」の指定要件で「100年以上その歴史が続いていること」というものがあるように、伝統工芸と呼ばれるものは基本的に明治時代には既に作られていた。しかし、100年を遙かに超える歴史を誇るモノもたくさんある。

陶磁器で言えば「日本六古窯」と呼ばれる瀬戸焼(愛知県)、常滑焼(愛知県)、越前焼(福井県)、信楽焼(滋賀県)、丹波立杭焼(兵庫県)、備前焼(岡山県)はすべて平安時代から作られている。日本で生まれ現在まで技術が受け継がれている、中世を代表する焼き物だ。京都府を産地とする伝統工芸品にも、遷都した平安時代に技術発展したモノが多い。また大阪浪華錫器(大阪府)や土佐和紙(高知県)、越前和紙(福井県)は奈良時代に起源すると言われ、優に1000年を超える。さらに、江戸時代に発展した大阪仏壇(大阪府)をたどると飛鳥時代にまで遡る。ただ、この“古さ”に価値があるのではなく、長い年月、継続的に作られてきていることに意味があるのだ。

Q4. 作っているのはどういう人?

伝統工芸の職人になるには、かつては師匠に弟子入りし、その技を受け継ぐのが当たり前だった。明治時代頃までは徒弟制度があったので、今で言えば小学校低学年くらいの時期から手工業の現場で修業を積み、成人前にはすでに一人前の職人として従事していた人もいたという。もちろん、今も同じように弟子入りする人も数多くいるが、全国各地の産地や工房が運営する、伝統工芸職人の養成施設も作られている。産地の組合や自治体でも職人の希望者を斡旋しているので、これから職人を目指してみるのもいいかもしれない。

また、伝統工芸品の需要低迷や後継者不足に対応するため、1975年より、伝統的工芸品産業振興協会が「伝統工芸士認定試験」を実施している。高い知識と技術を持つ「伝統工芸士」の作品を集めた展覧会なども各地で開催されているので、匠の技をじっくり鑑賞したい人にはおすすめだ。

Q5. どのくらい長く使える?

親から子へ、子から孫へ。漆塗りの重箱やお椀などハレを祝う食器などは、代々受け継いでいく文化が日本にはあった。気に入った工芸品を修理しながら、子孫まで受け継ぐことができるのも、技術を受け継いでいる職人がいる伝統工芸ならでは。 例えば漆器は、50年以上前の漆がはげてしまっても、塗り直しをすれば新しく生まれ変わるため、半永久的に使い続けることができる。陶磁器も、欠けたり割れたりした箇所を漆で接着し、金属粉で装飾する「金継ぎ」という美しい補修方法がある。また、東京無地染(東京都)などの染色品は、色を抜いて新たな色に染め直すことも。大切に使い続けることで、新品にはない価値が生まれる。

東京の「伝統工芸 青山スクエア」では毎月1回、専門家に漆器や陶磁器の修理の相談ができる催しを実施している。食器や染色品以外でも、工房や職人が分かれば修理を受け付けてくれる伝統工芸品は多い。家に眠っている伝統工芸品があれば、改めて見直してみて。

Q6. どこで買えるの?

ここ数年、伝統工芸品が注目を集めていることもあり、東京都内のデパートをはじめ、各地で日本の伝統工芸品を集めた催しが頻繁に開催されている。また、東京の「伝統工芸 青山スクエア」では、経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品」を展示・販売。オンラインショップも用意されているので、手軽に利用可能だ。2014年から開催されている「JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK」では、開催エリアのライフスタイルショップが伝統的工芸品とコラボレーションして、オリジナル商品の展示販売や実演などを展開している。いつものお出かけ感覚で買い物できるので、伝統工芸品を買うのは初めて、という人にも参加しやすいだろう。

Q7. 今、注目の伝統工芸は?

伝統の技術を生かしながら現代の生活にマッチしたデザインで、人気を集めている工芸品が増えている。

陶磁器だと、波佐見焼(長崎県)はポップな柄やモダンなデザインの食器が若者を中心に人気を集めているほか、九谷焼(石川県)はゴジラやウルトラマン、ドラえもんといったキャラクターとのコラボレーションで話題に。また、大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』では、伝統工芸品である組紐が登場した。組紐の種類には伊賀くみひも(三重県)、京くみひも(京都府)、東京くみひも(東京都)があり、作中に登場した組紐をモチーフに作られた東京くみひものブレスレットは、一時品切れになるほど注文が殺到したそう。形の自由度が高い組紐は、「紐」としての使い方以外にも汎用性の高い伝統工芸品。携帯ストラップやアクセサリー、ベルト部分に組紐を使用した腕時計も発売された。現代の生活にマッチしたモノが作りやすいため、今後もアイデアによっては大ヒットするアイテムが生まれるかもしれない。